一般的にキャリアアップを目指すには業界の将来を見据える力が要求される。一年や二年の努力でキャリアアップに成功する事例は極めて少なく、少なくとも五年から十年程度の期間を考えて業界がどのような形で成長していくのかを予測しなければならない。安定している業界では比較的難しくはないことだが、IT業界の場合には進展のスピードが著しく速いことから予測するのが困難である。
SEがキャリアアップを図るときには将来予測をするのに苦労することが多い。業界情報を網羅的に集めて、これから数年間で何が起こっていくかをまず考える必要がある。
これから衰退していく技術が何かを考えると同時に、新しく中心軸になってくる技術を見極めなければ適切なキャリアを積んでいくことはできない。理想的なキャリアパスを導き出すためには先見の明があることが求められるのである。
しかし、大きな変革が起こるときにはいつも新しい技術が生まれているのは確かであり、それに着目して良し悪しを判断する習慣を付けると将来を読みやすくなる。キャリアパスを考えるときにはこのような事前準備が必要だが、一度苦労して習慣化しておけば将来的にも役に立つ。
状況によってはキャリアアップの方向性を変えなければならない場合もあるが、常に業界の動向を把握しておくと方針転換がしやすいだろう。キャリアアップに本当に成功するためにはいつもIT業界全体を見続ける必要があり、成功するまでは苦労が続くことになりやすいのである。